情報 共通問題 09年度前期試験 解答

[科目名:情報,試験実施日:7月28日(火)2限,解答用紙:A4版両面2枚(冊子),計算用紙:1枚,持込:一切不可]
※共通問題の内容に関しては一切質問を受け付けない.

共通問題1
以下の小問1-1,1-2に答えよ.


1-1

音楽CD(コンパクトディスク)は,2ch(ステレオ)で約74分の音を記録することができる.これに関して以下の各問にすべて答えなさい.

(1) 音楽CDにおける量子化と標本化について以下の用語・数値を必ず1回以上用いて2〜3行程度で記述しなさい。(用いた用語・数値の部分に下線を引くこと.)
量子化,標本化,44.1kHz,16ビット

音楽CDでは、1秒間を44100の部分に区切って(44.1kHzで)音声を標本化し、音の振幅を216=65536段階の精細さで(16ビットで)量子化している。
なお、44.1kHzという数字は、ヒトの聴覚の高音域の限界が約20kHzであり、そのナイキスト周波数が約40kHzとなることに由来する。


(2) (1) で答えた量子化・標本化の方法で,2ch(ステレオ)で1秒分の音を記録すると何ビット必要になるか答えなさい.(計算式も記述すること.)

44100Hz×16bit×2Channel=1411200bit

(3) (1) で答えた量子化・標本化の方法で,74分の音を記録するためのデータ量は何バイト必要か答えなさい.(計算式も記述すること.)

1411200bit×74×60÷8=783216000Byte ※1Byte=8bit


1-2

次の段落はインターネットのWWWを介して利用できるチケット予約システムにおける複数のコンピュータの動作を順に説明したものである.空欄A1からA4に入るべき言葉をA群から,空欄B1からB4に入るべき言葉をB群からそれぞれ選び,記号で答えよ.

利用者がWebクライアントを使ってチケット情報ページのURLを入力する.[ A1 ][ B1 ]する.[ A2 ][ B2 ]する.公演情報参照プログラムが公演情報データベースにデータを要求する.[ A3 ][ B3 ]する.[ A4 ][ B4 ]する.Webクライアントがジャンル別,地域別の購入可能な公演の情報ページを表示する.

A群:
(a) 公演情報データベース
(b) Webサーバ
(c) Webクライアント
(d) 公演情報参照プログラム

B群:
(あ) 公演情報参照プログラムを実行
(い) 公演情報ページを作成し、Webサーバを介してWebクライアントに提供
(う) Webサーバにサービスを要求
(え) 公演情報参照プログラムに公演情報データを提供

A1:c A2:b A3:a A4:d B1:う B2:あ B3:え B4:い
共通問題2


ボーリングの点数を計算する方法を考える.

ボーリングはボールを投げて10本のピンを倒す競技で,10個のフレームという単位でボールを投げる.1つのフレームは1投または2投よりなる.1投目で10本すべてが倒れたら,そのフレームをストライクと言い,2投目は投げない.1投目で倒れたのが9本以下なら,残っているピンに対して2投目を投げる.そこに残っているすべてのピンが倒れたら,そのフレームをスペアと言い,1本以上残ったら,オープンという.

フレームごとの点数計算の規則は次のようであり,ゲームの点数はフレームの点数を累計して得られる.
1. ストライクの得点は,10に次の2回の投球で倒れたピンの本数を加えたものである.
2. スペアの得点は,10に次の1回の投球で倒れたピンの本数を加えたものである.
3. オープンの得点は,そのフレームの2回の投球で倒れたピンの本数である.

さらに,最後の10フレーム目に特殊な処理が必要だが,ここではそれは考えないことにする.

さて,1回の投球で倒れたピンの数が入力として入ってくるたびに,これまでの点数の合計を行う計算を考える.入力されたピンの数は,Pという変数に入ってくるものとし,得点の合計はTという変数に入れていくものとする.
P: 入力されたピンの数
T: これまでの点数の合計(初期値は0)

さらに,計算を実行するために,次のような変数を用意する.
S: 直前のフレームの状態を示す(初期値は0)
S=0 オープン
S=1 スペア
S=2 ストライクでかつその前がストライクでない
S=3 ストライクでかつその前もストライク(いわゆるダブル)
R: 現在が2投目の時,1投目で倒れずに残ったピンの数
I: 現在が1投目か2投目かを表す(初期値は1)
I=1 1投目
I=2 2投目

点数計算の規則は,ストライク,スペア,オープンに対してその後の投球による加算方法を述べているが,計算の際は現在の投球で倒れたピンの数を元に,前のフレームがオープン,スペア,ストライク,ダブルのいずれかで,点数合計値Tを変更していくという方法を取ることにする.その手順を次のように考える.

計算手順
if I=1 then
  if P=10 then
    A: それに応じてT,S,Iを変更する
  else (すなわち 0≦P<10 なら)
    B: それに応じてT,R,Iを変更する
  endif
else (すなわち I=2 なら)
    C: それに応じてT,S,Iを変更する
endif

ここで上のAの部分は次のように書くことができる.

Aの計算手順
if S=0 then
  T ← T+P
  S ← 2
else if S=1 then
  T ← T+2P
  S ← 2
else if S=2 then
  T ← T+2P
  S ← 3
else (すなわち S=3 なら)
  T ← T+3P
  S ← 3
endif
I ← 1

ここで,「if(条件1)then(文1)else if(条件2) then(文2)else if … else(文n)endif」は,条件によってn個に場合分けする操作を表す.すなわち,(条件1)が成立したら(文1)を実行し,(条件n-1)までのすべてが成立しなかったら,(文n)を実行する.
この計算手順に対し,次のようなデータが順にPに与えられたとする.
[7,3,8,0,10,10,6,4,7,1]
このとき,Tには次のような値が対応して計算される.
[7,10,26,26,36,56,74,82,96,97]
倒れたピンの数が入力されるたびに合計を計算しているので,通常のボーリングのスコアシートとは途中の表示が異なることに注意せよ.

問題

Aの計算手順を参考にして,
(1) Bの計算手順を書きなさい.
if S=0 then
  T ← T+P
else if S=1 then
  T ← T+2P
else if S=2 then
  T ← T+2P
else
  T ← T+3P
endif
 R ← 10-P
 I ← 2

(2) Cの計算手順を書きなさい.
if S=0 then
  T ← T+P
else if S=1 then
  T ← T+P
else if S=2 then
  T ← T+2P
else
  T ← T+2P
endif
 I ← 1
if P=R then
  S ← 1
else
  S ← 0
endif

共通問題3
以下の問題Aおよび問題Bのうちいずれか一方を選択し,答えよ.


問題A

図書館では書籍を無料で見ることができる.より広く,書籍をインターネットで自由に見られるようにすることが「googleブック検索」などで行われている.しかし,これについては様々な議論がある.以下の(1)〜(5)の概念についてそれぞれ2〜3行で,概念の意味と,その概念から見たときにどのような議論があり得るかを述べよ.

(1) 著作権

著作権とは、自身の作りだした物を他人に無断で使用されないよう保護する権利のこと。
一般に、書籍の内容は著者が作り出した物であり、著者はその内容をgoogleなどの他者に利用されないようにする権利を持つ。
しかし、図書館と同様に公共の福祉のためになされるサービスであれば、この権利は「公共の福祉に反する」こととなり有効でないと考えられる。


(2) 制約からの解放

書籍の内容をオンラインで閲覧できるようになることで、利用者は書店や図書館へ出向く必要がなくなるということ。
このことは、書店の売り上げの減少や図書館の利用者の減少につながることが考えられる。
※「経済的な制約」について書かなかったのは、インターネットを利用するのにも一定の金銭が必要になると考えるからである。


(3) 社会の権威構造

情報を書籍によって発信する場合、書籍の内容には出版社によるバイアスがかかり、必ずしも公正な情報を発信できていたわけではない。
インターネットというバイアスのない空間では、このような歪んだ権威構造が崩れ、自由で公正な情報が発信できるようになると考えられる。


(4) 無形性(無体性)

インターネット上で閲覧する書籍のデータには、目に見える実体がないということ。
このことには、不正利用に対する、心理的な障壁を低くする効果があるとされる。


(5) 複製可能性

書籍の内容を容易に複製できてしまうこと。
複製したものを不正使用する人が出てくると、著作権の問題につながる。



問題B

表1はNOT,AND,OR,NAND,XORの各演算を表わした真理値表である.

表1:NOT,AND,OR,NAND,XORの真理値表
x0x1NOT(x0)AND(x0,x1)OR(x0,x1)NAND(x0,x1)XOR(x0,x1)
0010[ A ][ E ]0
0110[ B ][ F ]1
1000[ C ][ G ]1
1101[ D ][ H ]0

NANDはNAND(x0,x1)=NOT(AND(x0,x1))となる演算である.

(1) 表1中の欄AからHを埋めよ.

A:0 B:1 C:1 D:1 E:1 F:1 G:1 H:0

(2) NOT(x0)=NAND(x0,x0)であるため,MIL記法を用いるとNOTは次のように1つのNANDによって表現できる.MIL記法を用いてANDを2つのNANDにより表現せよ


考え方
ヒントとして提示されたNOTを用いる。NAND+NOT=AND


(3) MIL記法を用いてORを3つのNANDにより表現せよ.


考え方@
(1)でORとNANDの真理値を書くと、ORとNANDでは上下が逆になっていると分かる。
つまり、入力を逆転させればORはNANDに、NANDはORになる。NOTは(2)のヒントを用いる。
考え方A
この手の問題の解答は対称図形になることが多い。対称図形になる組み合わせは少ないので、@に気がつかなくても解答は見つけられる。


(4) MIL記法を用いてXORをなるべく少ない(最小は4つ)NANDにより表現せよ.


考え方
(3)の考え方Aと同様に、対称性を考える。対称に並べられるのは以下の6通り。

最終的な出力が1本であるから、一番右の列に素子が2つ以上あるとは考えがたい。BとEは配線できそうにない。残る@とDにいろんな配線を試してみる。



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